CFFジャパン事務局スタッフのブログ

NPO法人CFFジャパン事務局スタッフのブログです。仕事のことに限らず色んなことを書いていく予定です。

アリアナグランデとテロリズム〜憎しみではなく、結束と愛を〜

こんにちは。事務局スタッフの石井(たけし)です。

みなさんご存知と思いますが。6月4日、イギリス・マンチェスターで世界的アーティストのアリアナ・グランデが5万人を集めるチャリティコンサートを行いました。

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アリアナ・グランデ(写真:Music Channel.M ver.5: 5月 2016さんより) 

 

このコンサートは5月22日にアリアナのライブ会場付近で起きた自爆テロの被害者へ向けられたものとして実施。多くのアーティストたちが共鳴し、ジャスティン・ビーバーケイティ・ペリーマイリー・サイラス、コールドプレイ、元オアシスのリアム・ギャラガーなどそうそうたる面々がライブに集ったとのことです。

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アリアナとマイリー(写真:Modelpressさんよりhttps://mdpr.jp/international/detail/1691634

 

今回のテロに対する形でのチャリティコンサート実施表明はテロリストへの挑戦状ともとられかねないからこそ、それを実現することへの恐怖や「もしかしたらまたテロが起こるかもしれない。」という思いがよぎることはきっとあったんではと思っています(テロ直後だからセキュリティーは徹底されることが前提としても)。

それでもライブを実現させたことを考えると、僕自身は彼女の放つメッセージから何にも揺るがない強い思いを感じざる終えません。

しかも、それがテロ発生からわずか13日、2週間足らずでのライブ実現だったこと。そして、このライブの前日6月3日にはロンドンでもテロが起こったことだからなおさらです。

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今回のテロ犠牲者への献花(写真:ジャスティンに“ロンドン公演中止して” ファン投稿相次ぐ - グノシーさんより

 

「One Love Manchester」と銘打たれた今回のライブ。その実現のためにアリアナがテロ発生の4日後にインスタグラムで発したメッセージがあります。

 

(全文とその訳はこちらhttp://www.elle.co.jp/culture/celebgossip/ariana-grande17_0527のページにあります。)

 

そこには

We will not quit or operate in fear.
私たちは恐怖によって投げ出したり、操作されることはありません。

We won’t let this divide us.
私たちはこれ(今回のテロ)により分裂させられることはありません。

We won’t let hate win.
私たちは憎しみを勝たせることはありません。

と書かれています。

「憎しみを勝たせることはない。」

彼女が放ったメッセージは"テロに屈しない"ではなく、あくまで"憎しみと恐怖に屈しない"なのです。

「憎しみを憎しみで返さない。」もしくは「テロに対する怒りの表明をするのではない。」という用にも僕は受けとめました。

 

そして、メッセージはこう続きます。

 

Our response to this violence must be to come closer together, to help each other, to love more, to sing louder and to live more kindly and generously than we did before.
今回の暴力(テロ)に対する私たちの返答は、これまで以上に、互いに親密になり、ともに助け合い、より愛し合い、より声高く歌い、そしてより寛大に思いやりをもって生きることです。

 

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One Love Manchesterの様子(写真:Cosmopolitanさんよりhttp://www.cosmopolitan-jp.com/entertainment/celebrity/news/a5483/ariana-grande-night-of-one-love-manchester/

 

テロという行為はもちろん肯定されるべき行為では絶対ないし、起こりえてはいけないことです。

しかし、このアリアナのメッセージはテロリストやその周辺にいる人たちを憎み、対抗していくのではなく「より結束すること、愛し合うこと、ともに生きること」を訴えかけているのだと思います。

それは全人類に対して、つまりテロリストとなってしまう人たちも含めてなのではないでしょうか。

 

アリアナは誰もが認めるスーパースターではあるけれども、肩書きを取れば23歳のひとりの女の子。そのひとりの女の子が訴えかけるこのメッセージはあまりにも鮮烈であり、愛に溢れていると感じます。

 

そんな彼女の思いやメッセージがより多くの人に届けばとこのブログを書こうと決めました。

 

ただ一方で、アリアナも、マイリーも、ケイティも、ジャスティンも、リアムも…世界のトップアーティストであり、超々お金持ちのスーパーセレブであるのはやはり間違いありません。

彼女たちは色々なチャレンジやアクションを起こさなくても、悠々自適に暮らして行けるはずです。

それでもわざわざその栄華を失うかもしれないリスクを追ってまで訴えかける、憎しみと恐怖に屈することのない「結束と愛」 。

 

このメッセージから思うのは、永遠に叶わなくとも、どんなにキレイごとと言われようとも最後に人が追い求めるのはそこなのではないかということ。

 

テロリストがテロリストになることにその背景があることを知るべきだし、その背景には僕らひとりひとりが作っている”社会”というものがあるということを受け止めなければいけないと思います。

 

だからこそ、恐怖よりも憎しみよりも「結束と愛」がいま必要なのではないでしょうか。


※写真をいくつかのサイトよりお借りしました。必要であれば削除しますのでお手数おかけしますがinfo@cffjapan.orgまでその旨ご連絡ください。