CFFジャパン事務局スタッフのブログ

NPO法人CFFジャパン事務局スタッフのブログです。仕事のことに限らず色んなことを書いていく予定です。

2020年夏の海外プログラムの中止決定とこれからのこと。ともに考えたいこと。

CFFジャパン副代表理事(現在は事務局長代行も兼務)の川崎修です。
 

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  ・1999年第4回フィリピンワークキャンプ参加
       ・2001年より地域のNPO活動に関わりはじめる
  ・2006年よりCFFジャパン理事に就任
  ・2012年〜2014年まで事務局長も兼任

 

今回の寄付プロジェクトでは、既にたくさんの方から想像を超える額のご支援をいただき、ありがとうございます。
また、今このときに、CFFに関心をお寄せくださっている方すべてに感謝します。
 
 
ご報告です。
 
CFFジャパンは、5月16日の理事会において、
2020年夏のワークキャンプスタディツアー等の海外プログラム、すべてを中止と決定しました。
 
海外プログラムは、CFFジャパンにとって、
・「子どもと青年の育ちあい」というミッションの具現化
・事業体としての収益の確保(現地の子ども支援の資金・青年育成事業の推進体制を確保するための資金)
の両面で根幹を成す事業であり、
事務局としても、厳しい状況の中でも最後まで実施の可能性を探りたい、状況が好転しないか粘りたい、と検討を重ねました。
しかし現状、
・相手国の入国制限や行動制限により物理的に実施が不可能
・参加者同士の感染、現地へ(とくに子どもや施設へ)の感染を防ぎきれない
などの状況があり、
また夏までに実施可能な状況に至らないことも明らかになってきました。
 
具体的には、次のような基準に沿って判断しました。
 
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新型コロナウイルス感染症に関する海外プログラム実施基準 2020/5/1>
 
【現地】※国ごとに判断
 1)現地CFFから受け入れ可能との判断がある
 2)現地行政による入国制限・行動制限がない
 3)日本政府の海外安全情報がレベル1以下である(レベル2は条件付き実施)
 4)日本政府によって日本帰国時に隔離を指示・要請される対象国となっていない
【日本】
 5)外出自粛の要請がなされていない
 6)イベント自粛の要請がなされていない
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緊急事態宣言の解除など一部に緩和の動きもありますが、現状では基準を1つも満たせておらず、満たせるようになる見込みも立っていません。
 
既に決まっていたプログラムリーダー予定者の人たちをはじめ、期待を寄せてくださっていた方も多いと思いますが、残念ながら中止となります。
 
 
CFFでは、今年の春シーズンがちょうど始まったくらいからコロナウイルスの影響が顕著になり、春のプログラムも内容の変更や途中帰国を強いられる事態となり、最終的には3プログラムが中止となりました。
かつては2011年の東日本大震災の発災時も2プログラムが中止となりました。
しかし1シーズンすべてのプログラムが中止となるのは今回が初めてのことです。
 
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まず当面のお金の問題について。
 
CFFジャパンでは例年、収入のうち海外プログラムが8割以上を占めています。
2019年度(2020年4月まで)が500万程度の赤字見込みであることに加えて、2020年度(2021年4月まで)はさらに大幅な赤字の可能性が高いです。
従来より、テロなどの不測の事態により海外プログラムができなくなることも考慮し、一般的にNPOで必要とされる水準以上に内部留保をして蓄えてきましたので(その想定を上回る事態とはなっていますが)、CFFジャパンについては、少なくとも2020年度(来年の春まで)は存続することができます。
ですが、CFFジャパンとの協働事業である海外プログラムからの収入が絶たれることによって、内部留保が少ない各国のCFF、とくに現地で施設を運営しているフィリピンとマレーシアではより差し迫って苦しい状態にあります。
そこでまずは、今回の寄付キャンペーンで現地の施設運営費・団体運営費への緊急の支援をお願いしたいと考えています。
 
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次にこれからのことについて。
 
現地の問題の次に、CFFジャパン自体の事業や存続について考えています。
 
みなさんも日々、コロナウイルスに関するニュースを目にし、さまざまな分析や予測を耳にしていることと思います。
緊急事態宣言が解除されても、政府の専門家会議により示された「新たらしい生活様式」として、フィジカルディスタンスの確保や「3つの密」の回避などが求められることには変わりありません。感染拡大の第2波・第3波が襲来する可能性も言われています。ワクチンの開発・普及や治療法の確立の目処はまだ立っていません。
2021年も、海外プログラムの通常通りの実施は困難だと考えるのが妥当でしょう。
 
外出や移動ができない社会、大学でのオンライン授業、働き方などのライフスタイルの変化。今、みなさんの生活にも大きな変化が起きていることと思います。
教育、福祉、経済、環境、芸術・スポーツ、防災、、、 既に社会は大きく変化しつつあります。さまざまな課題が現れてきています。
来年以降に向けて、「いつになったら元に戻るか」を待つのではなく、「今だからこそ」「これからだからこそ」の社会的課題やニーズ、可能性をとらえ、CFFならではの価値を発揮できる事業、CFFだからこその役割を果たせる活動を考えていきたいと思います。
そのためにCFFジャパンでは、当面まとまった事業収入は望めませんが雇用は維持し、多くの旅行会社のように一斉休業もしません。今このときも医療・福祉従事者の方や社会インフラを支える事業者や団体の方が厳しい状況の中で尽力をされていますが、CFFもその社会の一翼を担っていきたいと思います。
 
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いくつかアイデアをシェアします。
 
1つは「新しい生活様式」に対応する海外プログラムの検討。
これまで人との密接なかかわりが魅力でもあったCFFプログラム。同じ形では難しそうですが、やはりCFFの価値を最も体現できるプログラムとして、身体的な距離は保ち感染防止にはできる限り配慮しつつも実施できないものか。
 
2つ目は、オンラインでの可能性。
ゴールデンウィークに有志メンバーで企画された「CFF WEEK」。日本中どこに住んでいても、世界中どこにいても同じ時間や同じ体験の場を共有できることを示してくれました。
国境をまたぐ移動や交流が難しい現在、国際協力や国際交流の活動も止まっていますが、グローバルな協力や助け合いの必要性はむしろ高まっていると言えます。オンラインでもスタディツアーで得られるような体験や学びの機会はつくれないものか。
 
さらには、
・CFFの強みを生かして青年からの相談を広く受けたい。
・新事務局周辺の地域(世田谷)での活動をしたい。
・まずは窮屈な思いをしている地域の子どもとオンラインで交流するボランティアをやりたい。
・去年から検討しているミャンマーのスラム地域のコミュニティで衛生環境を改善する事業を進めたい。
 
イデアはほかにも出てくるでしょう。
 
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これを読んでくださっているみなさん。
 
若い人が多いでしょう。オンライン社会へは比較的適合しやすいのかもしれません。オンラインでも大学の授業を受け、友達とも交流することができます。でもそうした日常の中で、予期せぬ新たな出会いの機会、自分の周辺以外の社会への参加や学びの機会は減ってはいないでしょうか。
 
今だからこそ困っている人に思いをはせること。考えること。行動すること。
現地で出会った子どもたちや、つながりがなくなって生きていくのが困難な誰かのために、
身体的な距離は保ちつつも、社会的な距離をどう縮められるか。つながりをどのように生み出し、深めていけるのか。
 
CFFはこれまで全体としては毎年同じような事業や活動のサイクルを続けてこられました。
今はそれができませんが、このようなときだからこそ、社会のために何ができるか、ゼロベースで成長できる機会、チャレンジできる機会であると思います。
今だからこそ、一人ひとりが「受け手」ではなく「担い手」になりたい。他者(仲間)や地域のこと、社会や世界のことを自分のこととして、問題の当事者として動きたい。
 
ともに動きませんか。
 
 
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CFF「子どもの家」を守り隊 
~2020寄付プロジェクト!~

(特設サイトはこちらから)

 

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