こんばんは。CFF事務局スタッフひろしです。
1月20日お送りしたCFF会報誌※「らぶれたー」の記事にありました、「CFFジャパン青年育ち合いビジョン(仮称)策定プロジェクト 」の全文を掲載します。
※らぶれたーとは?
CFFが年に1度発行している会報誌です。最近キャンプに参加された方や、CFFサポーターの方、CFF事業に寄付してくださった方にお送りしています。
「らぶれたー」はCFFの”今”を伝える内容です!新規でCFFサポーターになってくださった方には、お送りしますので、ぜひCFFサポーターになってCFFの”今“を知っていただければと思います^^
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では!CFFが目指す青年育成についてぜひ!読んでみてください!
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CFFジャパン青年育ち合いビジョン(仮称)策定プロジェクト
〜CFFはどのような青年を育てたいのか、そしてどのような役割を担うべきか〜
「自分のあり方・生き方を考え、互いを尊重し、可能性を高め合い、それぞれの目標に向かい自律し、共通の問題の解決のために 協働する青年」これは今から20年前、CFFジャパンの設立趣旨書、冒頭部分に示された「育てたい青年像」です。
その後の20年間、約3,800人ものたくさんの青年がCFFのプログラムや活動に参加し、実践を積み重ねてきました。20年経っても変わらないこと。20年を経て徐々に変わってきたこと。
今、これまでの実践を振り返り、そしてこれからのビジョンを自分たちの言葉であらためて示すことを目指して、CFFジャパンでは2015年からプロジェクトを開始しました。今回はその概要をお伝えしたいと思います。
(1) なぜこのプロジェクトを始めたのか
1、青年たちとCFFの姿の変化(?)
近年、CFFに参加する青年の様子として、自分自身に課題を抱えている様子が顕著になってきたように感じます。
なんだか生きづらさを抱えていたり、自分を認めることができなかったり、とくに目標がなかったり。
CFFのスタッフもよりそういった面に着目するようになりました。
以前と比べて国内活動があまり活性化しなかったり、また学生時代にCFFで活動した青年が就職後、なかなか社会で力を発揮できない、といった問題も見受けられました。
CFFが日本で取り組んでいるのは、「子どもの貧困」といった見えやすい問題ではありません。
既存の文脈では語れなくても、しかしそこには社会構造に影響する大事な問題がある。この問題を明らかにしたいと思いました。
2、教育機関に向けてCFFの人材育成の意義を伝えたい
2014年ごろより、提携している旅行会社のつながりもあり、大学や高校との協働事業が始まりました。
今後も増やしていきたいところではありますが、CFFではこれまで学生世代に向けた広報を得意としてきた反面、いざ「大人」の人に向けて自分たちの意義を語ろうとしたところ、言葉がありません。
学校側としては、海外で安全に体験学習ができるフィールドを求めていることが主で、人材育成団体としてのCFFにはそれほど関心がないか、ワークキャンプが「自己満足」のように見なされることもあります。
もちろんCFFとしては単なる活動地の提供ではなく、CFFの人材育成の価値を理解してもらいたいわけです。
昨年末には20周年プロジェクトの手により、「身近な人」にCFFの価値を伝える記念冊子が完成しましたが、このプロジェクトでは教育機関向けにCFFの人材育成の価値が伝わることを目指しています。
3、2020年に向けた事業活動のあるべきビジョンの具現化
CFFジャパンでは、2013年から2014年にかけて団体ミッションを再定義しました。
「わたしたちは、未来の基盤である子どもと青少年と、共に育ちあいながら、その誰もが未来に希望を持てる社会を築きます。」
そこで分かったことは、子どもと青年は不可分であるのと同時に、日本で直接向き合っているのは青年であること。
そして、このミッションだけでは抽象的なので、次の段階としてミッションをどう具現化していくかのビジョンが必要であること。
20周年を迎えるにあたって、中長期計画とともに検討していくこととしました。
(2)どのようにプロジェクトを進めているのか
このプロジェクを始めるにあたって大切にすることを5つ挙げました。
- 新しい取り組みよりも前に、まずは今CFFジャパンが直接向きあっている人やコトを対象にすること
- 「自分たちはいいことをしている」「こんなことがしたい」ではなく、社会的ニーズの分析に基づいて客観視すること
- メンバー間で共有するだけでなく、相手に「伝わる」ものであること
- 外部視点、とくに類似の問題に対して現場で実践している人たちの意見を大切にすること
- CFFでこれから中心となる担い手(スタッフ)が自分の言葉で語れる力をつけること
そして、何よりもCFFがやっているのは、青年に対する「支援」ではないという立ち位置を意識し、CFFの当事者(青年)の声も大切にしています。
以上を踏まえて、以下のメンバーで「青年育成ビジョン検討会」を実施しています。
(大学ボランティアセンターでの国際協力、ワークキャンプ、野外教育、学生や若手社会人の地域参加、高校でのボランティア教育、社会的弱者への支援)
- CFFの当事者
- (元キャンパー、活動メンバー、リーダー・インターン経験者)
(3)見えてきたこと
まず前提として確認できたのは、CFFは単に青年の日常や人生の悩みを解決したいのではなく、社会の担い手、もっというと社会問題解決の担い手を養成したいということです。
社会問題の解決というと、「社会起業家」を目指して…といったことがイメージされますが、必ずしもそれだけではなく、日常の当たり前を大事に身近な人や集団から動いていく、といったことも含まれます。
そういった人材に育つためには、社会で実践していくためのスキルや知識、そして何よりも活動の経験、これらはもちろん大事なことです。
しかしCFFの人材育成の特徴としては、それらよりも前にまずは青年自身の内なる課題に寄り添い、自分や他者を「ケア」できるようになることを重視しています。
そういった力を基盤として初めて、世界や地域での出来事が対岸の火事ではなく、自分自身の痛みのように受け止められるのではないでしょうか。
実際に、2016年春のCFF海外プログラム参加者に向けたアンケートからは、プログラムへの参加によって参加者自身の自尊感情が顕著に高まっているという結果が出ました。
CFFプログラムにおいて、このような変化をもたらすメカニズムとしては、「シェア」と「ケア」が重要な要素だと思われます。こういった仕組みについてもまとめをしているところです。
(4)これから検討すること
まず1つ目は、現状のCFFとしては内なる「青年育成」のニーズに対して成果を上げていると思われるものの、今後もそれ自体を目的化していってよいのか、それとも「社会」に対しての直接の働きかけを強めるべきか、という論点です。
社会の担い手養成のためには、CFFの中でも実践力が養成される場(現場の活動)をもっと作るべきなのか、やるとするとどこまでやるべきか、やれるのか。
さまざまな社会問題がある中、そういったことへのきっかけづくりに特化すべきなのか、それとも特定の問題を解決する活動が立ち上がるべきなのか。
この議論は、今後のCFFの事業活動のあるべき姿のデザインにつながります。
2つ目は、このビジョン検討の成果をどのように示していくかです。伝えたい相手としては、外部の教育関係者や若者支援・青年活動関係者、CFFの支援者やCFFメンバーの保護者、そして何よりもCFFの活動メンバーへ。
CFFのみなさんとはもちろん、同じようなニーズや課題に直面していたり、同じような価値を大切にしている方々とネットワークを拡げ、人材育成の潮流を変化させていきたいと考えています。